人生100年時代にそなえて歯の寿命ものばさないとです。
そこで大切なことは、歯の神経をとらないこと!
歯の神経と言っていますが、歯の中の血流と言い換えて良いでしょう。
歯の中にも血が流れているのです。
神経をとるとこの血の流れがなくなってしまいます。身体の中の細胞は血液が流れることで酸素や栄養が行きわたり生きていますよね。
この血液の流れがなくなれば、どうなるか?わかりますよね。
そうです。死んだ歯になります。
歯科医院では神経をとった歯のことを「失活歯」とよんでいます。
それに対して神経のある歯は「生活歯」。
「失活歯」・・活動を失った歯。この名前からして良くないです。
こういう神経をとった歯は、生活歯と比べると、当然、寿命が短くなる。(血液が流れていませんから)
身体は血流がなくなった組織を異物と考えてしまうのです。
だから神経をとった歯はいろんな問題がでやすい。歯周病なども進行しやすくなります。
ただ状況によってどうしても神経を取らざる得ない場合はあるのですよ。
もし、そうでないなら極力、神経を保存する治療をすべき!
この神経をとるかどうか?ぎりぎりの時に有効な方法がドックスベストセメント療法です。
ドックスベストセメントというのは、銅や鉄などのミネラルを含んだセメントのこと。
銅には強い抗菌性があります。この抗菌力がむし歯菌に持続的に作用するのです。
ドックスベスセメントが特に有効なのは、歯の神経の近くまで進行したむし歯に対してですね。
神経近くまで進行したむし歯の治療をすると目では確認できない大きさで神経が露出している場合があるのです。
そうなると、その部分(ちいさな点)から神経にばい菌がはいり、神経をとることにつながってゆきます。
ドックスベストセメント療法の場合は抗菌力があるため、神経の近くのむし歯をあえて取り残します。
そしてその部位にドックスベストセメントを置いて、フタをします。
あとは半年くらい経過をみて自発痛などの症状がなければ、最終のつめものやかぶせものに移行してゆきます。
この間、銅や鉄などのミネラルがむし歯菌を抗菌し、むし歯でやわらかくなった象牙質を硬くしていきます。この硬くなった象牙質はとる必要のないものなのです。(ただし、自発痛があるような場合にはドックスベストセメント療法は適応ではありません。)
身体のしくみを考えれば、神経を残す意義は非常に大きいですよね。
歯の神経を残すことがいかに大切かを納得できる患者さんにおすすめする方法です。