親知らず

嫌われることをしなければならない。

横向きに生えている親知らず。

親知らずの一本手前の歯に大きなむし歯(黒くぬけているのがむし歯の像)ができています。

それも歯の横方向から出来たむし歯のため、歯の中の神経に近いむし歯になっています。

このような親知らずは抜いたほうが良いにきまっています。

親知らずを抜いてスッキリしましたが、親知らずの手前にあった歯がむし歯が大きくて、神経をとる処置が必要になってしまいました。

こういう横向きに生えている親知らずがあると、それがじゃまをして、歯ブラシをあてることができないんですね。

ずっと歯ブラシがあたらないから、当然、大きな虫歯になっていきます。

このような大きな虫歯になるまでには、むし歯が出来はじめてから数年くらいはかかっているはずです。

こうなる前に親知らずを抜いていれば、この虫歯は防ぐことができたでしょう。

ただ、横向きに埋まっている親知らずを抜く事は、抜歯が大変だったり、抜いたあとに腫れや痛みがでたりしやすいのです。

抜くのが難しい親知らずを抜いたのに、あの歯医者はヤブ医者と言われかねません。

患者さんは親知らずを抜かれるのが大変だから抜きたくない。

歯医者も親知らずを抜くのが大変だから抜きたくない。

こうして問題は先送りされていきます。

このままにして放置しておけば、この先どうなるか歯医者はわかっています。

こうして大変で面倒だけど、しなければならない事が先送りされていきます。

患者さんに嫌われても、やらなければならない事が歯科治療には多くあるんですよね。

こういうことは歯科に限りません。

政治とかまさにそうです。

日本の将来にとってしなければならないことを政治家は皆わかっています。

ただ、日本の未来にとってしなければいけないことは、多数の国民に嫌われることだったりします。

多数の国民に嫌われることをすれば、当然ですが選挙に落ちてしまう。

こうして選挙に受かるために多数派の人気取りの政策になってしまう。

問題の先送りをした結果が今の日本。もう先送りできない問題が噴出してきています。

嫌われることをしないと、もっと大変な未来が待っています。